脳卒中リハビリテーション

脳卒中リハビリテーション新時代

脳卒中の発症率は470人/人口10万人(年)とされています。急性期の血栓溶解療法や血栓回収術など、治療技術は進歩していますが、多くの方に運動麻痺などの症状が残ります。脳卒中のリハビリテーションの最も重要なテーマが運動麻痺の改善です。この10年間で運度麻痺を改善する脳卒中リハビリテーションは大きく変化しました。以下に5つの要点をまとめます。

1. リハビリテーション戦略の必要性

運動麻痺を改善するための方法論が明らかになってきました。脳卒中後に、歩行は獲得できても、麻痺した上肢(手指)はなかなか改善しませんでした。その理由の一つは、下肢と歩行を司る神経回路と上肢(手指)の機能を司る神経回路は異なっており、そのため、異なるリハビリテーションの戦略が必要となるということです。そして、重度な上肢(手指)麻痺の改善にはどの程度の時間を要するのか、リハビリテーションが必要とされる期間も分かってきました。それにより、リハビリテーションの方針を決めることができるようになりました。

2. ニューロモデュレーション(経頭蓋磁気刺激TMS)および神経筋電気刺激

運動麻痺を改善させるための方法論として、神経筋電気刺激と言われる機器が多く開発されてきました。当院では、Muro-Solution®と言われる上肢麻痺への機器などを導入しています。また、損傷した脳のメカニズムを変化させる(調整する)、ニューロモデュレーションと呼ばれる経頭蓋磁気刺激TMSなどがリハ治療とともに導入されるようになりました。従来は回復が頭打ちになっていた上肢(手指)の機能回復が経頭蓋磁気刺激TMSと集中リハビリにより可能となってきました。

3. 痙縮に対するボツリヌス(ボトックス)治療

麻痺の回復を阻害する痙縮という筋肉の異常緊張である症状が発症の2−3ヶ月目から出現します。従来は効果的な治療法がありませんでしたが、2010年からA型ボツリヌス製剤(ボトックス)が痙縮の改善に投与することが保険診療上可能となりました。これにより、発症2−3ヶ月で痙縮のために、回復が頭打ちになっていた運動麻痺の改善を変化させることが可能となってきました。
例えば、麻痺した下肢には内反尖足という異常な症状が出てきていましたが、A型ボツリヌス製剤(ボトックス)を内反尖足の原因となっている筋肉へ投与することにより改善させることが可能になってきました。それにより、従来は麻痺側下肢には、下肢装具を使用しなければ、歩行が困難でしたが、A型ボツリヌス(ボトックス)治療を経ることで、装具使用からの脱却が可能となる治療成績が明らかになってきました。平成29年度までの当院の治療成績では,53%の方で下肢装具が不要となりました。
A型ボツリヌス(ボトックス)治療は、発症1−3ヶ月の回復期の時期だけではなく、生活期(慢性期)において、運動麻痺肢に痙縮・拘縮を生じている場合にも、治療効果があることが明らかになっています。
今日、脳卒中のリハビリテーション過程で痙縮・拘縮が認められる場合、A型ボツリヌス(ボトックス)治療は欠かすことができない治療法となっています。

4. ロボット技術、新しい下肢装具の導入

ロボット技術をリハビリテーション機器として導入できるようになっています。ロボット技術は、筋肉や関節の微細な動きを検出して、それを増幅する手助けをするなどの機能を有しており,上肢麻痺の改善や歩行の獲得に役立てることが可能となりました。当院ではHAL®上肢タイプと歩行訓練のためのバイオニックレッグ®を導入しています。
麻痺下肢に用いる下肢装具も日々進化してきています。当院では、Gait Innovation ®という、左右別・大きさ別のモデュラ-タイプのGS(Gait Solution)ユニット付装具を歩行訓練用に導入しています。

サイバーダイン社 HAL 上肢タイプ

バイオニックレッグ

5. MRI画像診断

脳のMRI画像診断により損傷している運動神経線維の可視化が可能となりました。MRI拡散テンソル法によるトラクトグラフィと言われる手法です。当院の3テスラMRIの画像診断と専用ソフトを用いた解析にて描出が可能です。この画像所見を用いることでリハビリテーションの方針を決めることができるようになりました。

脳卒中のリハビリテーションは、発症から5〜6ヶ月までの回復期と、その後の生活期とに医療保険と介護保険上は便宜的に区分されます。しかし、回復期もまた生活期もいずれも回復のためには重要な時期であり、その時々に必要とされている新しい治療法と技術を取り入れてリハビリテーションを継続することが必要となります。

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