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Luncheon Seminar

第34回 てんかん Part2

第34回 武田克彦先生Luncheon seminar

てんかんとJackson

平成30年6月14日桔梗ヶ原病院リハビリテーション研究会Luncheon seminarを開催しました。講師は、当院リハビリテーション科の武田克彦先生(第40回 日本高次脳機能障害学会学術総会会長)。「てんかんとJackson」と題し、講演をして頂きましたので、ご講演内容を報告いたします。

 

~てんかんの治療~

抗てんかん薬による治療を開始すべきか否かは大事な決定である。てんかんの診断がされて、再発のリスクが高く、患者がきちんと理解した場合には治療を開始する。

てんかんに対する分かりやすい説明、てんかんに対する誤解や偏見を持っている患者もいるため、正しい知識の教育が必要である。

最初のてんかん発作後にすぐ抗てんかん薬は投与しない。

・1回目の発作の20-30%は急性症候性発作(急性の脳障害、代謝性変化、中毒性要因など)であり、再発率は3-10%と低い。

・2回目以上の発作を繰り返した場合は、その後の発作の再発率は70-80%である。この時点で薬物療法を開始する。

てんかん患者の治療薬

部分(焦点、局所)発作 全般発作
・カルバマゼピン(テグレトール)が第一選択

・第一選択薬が使えない場合はバルプロ酸(デパケン)かフェニトイン(アレビアチン)

・バルプロ酸を用いる

・カルバマゼピン、フェニトインもほぼ同等の効果がある

 

~高齢者のてんかん~

有病率、発症率の蓄積とともに高齢になると増加し、65歳以上の方の15%がてんかんを有している。高齢者での初発したてんかんは脳血管障害や脳腫瘍、アルツハイマー病などの変性疾患に起因することが多く、頭部CTスキャン、MRIなどが必要となる。

高齢者では一度発作が生じた場合、若年者より再発のリスクが高い。特に脳梗塞などの既往がある場合は再発発作の可能性が高い。

 

高齢者における抗てんかん薬の投与

  1. 少量からはじめて漸増すること
  2. テグレトールは、アレルギー、ふらつきがある
  3. アレビアチンは、めまいふらつきなどに注意
  4. デパケンは、焦点性のてんかんの場合には、かなり血中濃度を上げないとコントロールに至らない

 

~新しいてんかん薬~

2006年以降いくつかの新たなてんかん薬が承認された。

・ガバペンチン(ガバペン)

・トピラマート(トピナ)

・ラモトリギン(ラクミタール)

・レベチラセタム(Eケプラ)

基本は単剤療法である。最初に選択した抗てんかん薬で発作が完全に抑制された場合は、その薬を継続して服用していくことになる。

上腹部の不快感を示し、次いで動作停止、凝視自動症(口、手の動き、発話、歩行など)などを生じる。しかし、発作のあったことは覚えていない(意識の減損)。発作の持続は2-3分であり、時に全身性のけいれんとなる。

 

~最初のてんかん薬で、治療効果が不十分な場合~

他の抗てんかん薬へ変更するかあるいは他の抗てんかん薬を付加するのか。

慎重に最初の薬を減量していって新しい薬を開始していく。そのように一度変更した薬に効果が不十分であれば、多剤併用療法となる。一般に作用機序の異なる薬物を併用した方が効果の補強が期待できる。

 

~抗てんかん薬の終結~

2-5年間発作がなければ、薬物の減量を行なう。抗てんかん薬を中止後の再発率は1年後には25%、2年後には29%、再発の90%は2年以内である。

 

~てんかん患者の再発の危険~

特発性のてんかん、脳波正常、小児期発症、神経学的異常がない、単剤でコントロール可の患者は再発が少ない。

16歳以上の患者、全般性強直性間代性発作、2剤以上抗てんかん薬を服用している、治療開始後にも発作があった患者は再発しやすい。

 

~難治性てんかん~

適切で十分な抗てんかん薬療法によっても発作の完全抑制が得られていない、あるいは得られにくいてんかんである。

2種類程度の抗てんかん薬によっても完全な発作抑制に至らないてんかんを指す。

成人の難治性てんかんは、症候性全般てんかんと側頭葉てんかんが代表的であり、発症時の発作頻度が高かったり、脳に器質的な病変がみられる。あるいは以前にてんかんの重積状態になったことがある。これらの場合にてんかんは難治性になりやすい。

 

~重積状態~

米国では、年に125000人が重積状態となっており、小児と60歳代以上の成人に多い。特に、全般性強直性間代性てんかんの重積が多い。

てんかん重積発作とは、十分な時間持続するか、間欠期に意識回復しないほど頻回に反復する発作。従来30分以上というのが一般的であったが、成人では5分以上発作が続くと自然回復しがたいことがわかり、最近は5分以上発作が持続するものとしている。

 

~高齢者のてんかん重積~

高齢者のてんかんでは、てんかんが初発するうちの約30%がてんかん重積をきたすと言われており、てんかん発作重積状態となると死亡率が20~40%となる。

 

~運転免許について~

1960年度の道路交通法において、てんかん患者は自動車運転免許取得に対して絶対的欠格事由の対象となっていたが、2002年に新道路交通法および同施行令では相対的欠落事由に改められた。

運転免許を申請するにあたっては、てんかんの病気があること申告し、主治医からの診断書(公安委員会指定)を公安委員会に提出する必要がある。

また、以下の項目を主治医、または臨時適性検査で診断される必要がある。

  1. 過去に5年発作がなく、今後発作が起きる可能性がない。
  2. 発作が過去2年以内に起こったことがなく、今後x年であれば発作が起こる恐れがない。
  3. 1年の経過観察後、発作が意識障害及び運動障害を伴わない単純部分発作に限られ、今後症状の悪化の恐れがない。
  4. 2年間の経過観察後、発作が睡眠中に限っておき、今後症状の悪化の恐れがない。
~Jacksonによるてんかんの定義~

てんかんは時折の、突発性で、過剰で、急速、かつ局所性の灰白質の発射である。

 

  1. 一側開始けいれん発作について

けいれんが始まる身体部位で頻度が高いのは(1)手(母指、人差し指) (2)顔・舌 (3)足の順となる。

原則としては、人差し指と母指に始まり、次いでそれ以外の指に及ぶ。次いで腕が加わり、顔におよび、ほぼ同時に下肢に降りて行く。次いで眼球と頭が侵されている側を向き、体幹が同方向にねじれ、胸部筋が動かなくなる。

2.大発作について

大発作では、感覚・運動要因が統合されている最高位の中枢の神経配列の発射が正常時に比べ、遥かに過剰、かつ急速になるために意識が消失される。そのため、意識消失の程度が強く、昏睡が持続することもある。

3.精神自動症

てんかん発作後の様々な異常行動をいい、てんかん発作後は、自動的、または無意識的に行動が出現する場合や、一過性のてんかん発作が先行したのちに出現する場合がある。

4.夢幻状態

意識の欠損と同時に、意識の過剰な状態が生じる。例えば、夢の中にいるような感情」や、どこか昔にいた環境にいるような感情」の状態となる。今の考えと夢が混じりあった状態。

5.てんかんの分類

てんかんの分類は、以下のように分類される。

  1. 部分(焦点、局所)発作複雑部分発作(意識障害を伴う)
  2. 2次性全般化に移行する発作
  3. 単純部分発作(意識障害を伴わない)
  4. 全般発作
  5. 欠伸発作、ミオクロニー発作、間代発作、強直発作、強直間代発作、脱力発作、未分類てんかん発作
~Jacksonの考え~

神経系の枠組みは、感覚-運動の図式で説明できる。印象と反応の連合から構成されるという。もっとも単純なものは反射である。

感覚-運動機能の階層構造という考えを提出する。機能の自動性の程度に応じ3つの階層構造をとっている。下の層には脊髄と延髄があり、機能的には自動的である。中の層には、線条体、中心前回などがあり、自動的過程が逐次統合、秩序だってきて随意性をおびる。その上には中心前回の前の部分がある。そこではもっとも組織化され統一化がなされる。

~進化論の考え方~

行動とは、より自律的で随意的でない機能から、もっとも随意的で意図的な機能までという複雑な重なりがある。自動的な機能は、中枢神経系のより原始的な構造によってなされ、随意的な刺激によって誘発されない機能は進化過程でより進んだ構造によってなされる。下位の階層は生まれたときから比較的固定した仕方で形作られるが、より上位の階層は生涯の遅くまで発達しながらより柔らかな構造を保つという。

~Jacksonによる失語とは~

左脳の大きな梗塞による重い失語の患者も怒りの言葉や祈りの言葉を言ったりすることができる。攻撃する言葉や記憶された話というものは最も自動的であり、命題的な言語は最も意図的である。

Jacksonによれば、失語の主なる障害は、言語使用のより高いレベルでの障害(命題化)よりなる。失語患者は、適切な状況で怒ったりすることはできるかもしれないが、外界の状況にかかわらず自分の意図や考えを伝えることが出来ない。

Jacksonは脳の右と左に関して、左脳は言葉の叙述的な使用において指導的役割を示すとしている。言語の自動的な用いられ方は右脳、言語の意図的な側面だけが左脳によって支持されると信じていた。叙述には、語句の無意識的喚起が先行するが、右脳によっても営まれる。左脳の大きな梗塞による重い失語の患者も怒りの言葉や祈りの言葉を言ったりすることができる。ただ語の自動的な使用を有意味な活用にとさせることは左側の脳の役割であるという。

~Jacksonの半側空間無視についての文献~

右側頭葉に腫瘍がある患者が横書きに書かれた文章を読む際に、右側に位置する部分だけを記載している。

 

 

以上、武田克彦先生に「てんかんとJackson」をテーマにご講演いただきました。

次回は平成30年7月12日にご講演して頂く予定となっております。

 

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